海水浴とラフティング、磯釣りを一カ所で

蘭と芝が多く自生していることから「蘭芝島」と名付けられたこの島は、搗飛島船着場から旅客船に乗って行かなければならない。大蘭芝島へと向かう途中の景観は美しいことで有名で、黄海の多島海の風景の中へと船で進む。船内から黄海の青い海と奇岩怪石を持つ大小の島々を見ていると、まるで遊覧船で観光しているかのような感覚を覚えるほどである。そして、多島海の素晴らしい風景を見ているうちに、海岸を包み込むように弓状に広がった松林と白いビーチのある蘭芝島の海水浴場に到着する。

蘭芝島は、ビーチが発達し水深も緩やかであることから、海水浴場として最適な所である。また、海洋スポーツにも適した自然環境を揃えている。30分ほどで到着する蘭芝島は、陸地にある海水浴場ほど人が多くない為ひっそりとしており、ファミリー向けの旅行地にもピッタリである。海水浴場周辺の磯釣りスポットは、プロの釣り師も訪れる海釣りの名所であり、海水浴と海釣りが同時に楽しめるところがこの島の魅力である。

一方で、約300人収容可能な客室33室規模の、教育館、総合グラウンド、訓練場などの施設も室内外に整っている青少年修練院が、海水浴場の裏に位置している。この修練院では、夏季特別プログラム“シーラフティング”が運営されているため、夏休みを多彩に楽しむことができる。

渡り鳥が飛来する生態の宝庫、蘭芝島

大蘭芝島には、絶滅危惧種であるオニバスとハマナスが自生しており、海岸には天然記念物第326号に指定されているミヤコドリが生息するなど、生態の宝庫として自然が保全されている清浄地域である。また、大蘭芝島は干潟が発達しているため、アサリや牡蠣が多く生息していることから、ミヤコドリが棲みやすい環境でもある。ミヤコドリは、英名“Oystercatcher(牡蠣を採る鳥)”からも分かるように、牡蠣が大好物で有名である。このような生態的特性は、身体構造からも確認することができる。ミヤコドリの嘴は長く尖っており、固く閉ざされた殻をこじあけて食べるのに適している。

毎年冬になると、多種ではないが、ミヤコドリの他にもカモ類やガン類が、ここ蘭芝島で越冬する。干潟が発達しているため餌が豊富にあり、また、島の周辺には鳥類の生息地として最適な無人島が沢山あるため、鳥たちにとって暮らしやすい環境が整っている。