挿橋艦上公園

唐津一の観光地として名高い“挿橋湖国民観光地”の沖合いに、軍艦2隻が停泊している。これらの軍艦は、現在は艦艇としての機能を持たない退役艦船で、現役時代には民間人統制区域であった艦艇である。この2隻の退役艦船のうち1隻は、海軍と海兵隊に関連する伝統と文化、武器や装備などを直接見て体験することができるように改装されており、もう1隻はそのままの姿で展示、本物の艦艇が体験できるようになっている。

敵陣の海岸を打撃する海岸突破の鬼才である海兵隊が使用する装甲車、一撃で敵艦を撃沈させる機関砲と艦砲、艦艇が海上を勇猛に突き進むことができるようにする推進体の巨大スクリュー。2隻の艦船を背景に、艦上公園広場に展示されている武器である。これらの武器は、艦内に入って直接作動させ、射撃姿勢を取ることができるので、艦船に対する好奇心がより刺激される。

華山艦－LST679

1958年10月にアメリカ・カリフォルニア州のロングビーチで買い入れ、1959年3月に鎮海港に帰港した華山艦は、1966年から1977年までは特殊輸送任務とベトナム戦争への派遣が10回、1962年から1999年までは韓米連合上陸作戦に41回参加、1981年から1993年まではチームスピリット訓練に9回参加、1974年から1994年までは離島広報に8回参加などの軍事活動を行った退役艦船である。

挿橋湖艦上公園は、大型揚陸艦である華山艦-LST679の展示を通して、艦上公園の真髄を味わった。韓国を代表する輸送揚陸艦であった華山艦の内部は展示空間として改装されており、最初に足を踏み入れるロビーには韓国海軍に関する紹介が展示されている。華山艦では、海軍の義務、有用性、軍事教育、主要イベント、外交、未来像などに関する様々な情報を知ることができ、普段なかなか接することのできない海軍の実状などを理解することができる。

ロビーを後にして順路に沿って進むと、廊下の奥には海兵隊員の蝋人形が展示されている実際の内務班があり、その先には、2002年6月29日、黄海に浮かぶ延坪島西部のNLL(北方限界線)海上において発生した、朝鮮人民軍と韓国軍による砲撃戦、延坪海戦展示室がある。この展示室には、延坪海戦時の実情を詳しく知ることが出来るようジオラマや各種資料などが展示されており、交戦が間接体験できる所でもある。その他にも、艦内には、海軍の軍服や軍事文化、海軍と協力して軍事作戦を遂行する海兵隊の戦闘像及び合同上陸作戦などの軍事活動が展示されており、これらを通じて間接体験が出来るようになっている。

全州艦－DD925

DD-全州艦は、1981年8月にアメリカ・ワシントン州のシアトルで買い入れたDD-876艦をDD-925艦に改称した艦船で、1981年10月に鎮海港に帰港して就役式が行われた。全州艦は、韓国艦隊第1戦隊に所属して海軍活動を開始し、後に第1艦隊、第2艦隊を経て1999年12月30日に退役した艦艇である。

主な活動は、1983年11月から12月までは、海士38期生を乗せて鎮海港からグアム、ミッドウェーを経てハワイまで往復しながら巡航訓練を行うなど、2回にわたる海外巡航訓練と、統一訓練、火の鳥訓練、海上査閲など、4回の海上機動訓練の参加、2回の大スパイ警備作戦の実施などの任務を遂行した履歴を持つ。

華山艦から全州艦に移動すると、現役当時の装備と室内がそのまま保存されている戦闘情報室に連結している。全州艦の戦闘情報室は、通信機器、大型レーダー、対空レーダー、標的基点追跡電子機、音響探知施設が整備されているソナー室の多様な装備などが戦闘情報室運営当時の配置そのままで展示されている。また、艦艇の司令塔ともいえる艦橋もまた、現役当時そのままの施設と装備で展示されている。

艦橋では、伝声管、漁船緊急情報網、海図台、灯火パネル、操舵輪、 機関伝令器、ジャイロリピータなど、見たことも聞いたこともない施設や装備が展示されており、これらの機能や使用目的をその場で詳しく知ることができる。そんな魅力ある全州艦には、特別な場所がある。

艦艇の後尾にある艦上カフェである。窓側のどの席からも黄海の大海原が望めるロマンチックなカフェで、唐津のランドマークである西海大橋と挿橋湖観光地の沖合の風景を思い出として持ち帰ることができる。50人ほど収容可能なこのカフェの営業時間は、冬期は09:00～17:30、夏期は09:00～18:00で、艦上公園利用者のみ利用できる。